「クリスマスに生まれる悲しみ」(前編)
クリスマスは、多くの人にとって一年の中で特別な日です。家族と過ごす時間、温かい料理、そして心を込めたプレゼントがその日を彩ります。しかし、私が施設職員として児童養護施設で働いていた時には、そうでは無い場面が何度もありました。子どもたちの笑顔があふれる一方で、時には悲しみが生まれる瞬間もあります。
私が以前勤めていた児童養護施設では、毎年クリスマスに向けて職員たちが準備を進めていました。施設には限られた予算があり、その中で全員が公平にプレゼントを受け取れるよう計画します。私の施設では1人当たりの予算は3,000円と決められ、その範囲内で子どもたちがクリスマスのチラシをみんなで広げながら選んでいました。子どもたちはその時間をとても楽しみにしていました。「これが欲しい!」「サンタさん、これくれるかな?」と瞳を輝かせ、楽しい会話が生まれます。
ところが、そんな楽しい空気がふとした瞬間に変わることがありました。
それは、保護者がクリスマスの日に施設に来て、面会や外出などを行う時です。
施設の子どもたちの中には、児童虐待や死別などで親と暮らすことができない子、親が面会に来られない子も少なくありません。
一方で家族関係自体は良好なのですが、病気や就業、精神疾患などの理由で子どもを育てられない家庭の場合は、クリスマスや誕生日、夏休みなどには面会や外出などの交流の機会を設けて、良好な親子関係を築いていきます。
ある年のクリスマスを来週に控えた日曜日、お昼ご飯を食べた後、私は担当の男の子、R君と一緒に施設のホールにいました。
彼は小学3年生で、クリスマスプレゼントは「小さな車のラジコン」とリクエストしており、来週のクリスマス当日を待ち遠しそうにしていました。
そんな中、施設のインターホンが鳴り、別の職員が玄関に出ました。
それから15分ほど後に、2年生の男の子(K君)が呼ばれました。
その日は同じ施設にいるK君と母親が面会交流の日でした。
R君はその様子が気になる様子でしたが、あえて気にしていないような素振りで、ホールでテレビを観ていました。
1時間ほどの交流の後に、K君の母親は帰り、K君がみんなにお母さんからもらったクリスマスプレゼントを嬉しそうに見せてくれました。
けれど、R君はその後にホールを出ていきました。
児童養護施設は子どもたちへの支援を当然行いますが、保護者の支援や家族関係の構築も役割の一つです。
子どもたちがお家で保護者と一緒に暮らすことができるように、児童相談所と連携しています。
正直、家庭での生活に戻れるケースは多くはありません。また、家庭に戻っても虐待が繰り返されることがないよう慎重に対応しています。
面会や交流についても、子どもたちが傷つくことがないよう、別の場所を用意したり、面会がない子には施設職員と外出の時間を設けたりするなど対応はしていますが、新しいおもちゃが増えたり面会などがあれば子ども間同士の会話で嫌でも知ることになります。
何度こういった場面に立ち会っても、もどかしさを感じていました。
私はR君の後を追って、彼の部屋に向かいました。
(後編に続く)
今年のあしながサンタの受付期間について
今年のあしながサンタのご寄付受付は、12月10日までとなっております。
※12月10日を過ぎたご寄付受付に関しましては、来年のクリスマスプレゼント代として支援させていただく形になります。
児童養護施設の子どもたちへのご寄付をご検討いただいている方は、お早めにお問い合わせください!
あしながサンタの活動について
私たちあしながサンタでは、活動を始めるにあたり、全国の児童養護施設へクリスマスプレゼントの予算に関するアンケート調査を行いました。回答のあった施設の調査結果から、子ども一人当たりのプレゼントの予算は平均約3,000円であることがわかりました。施設によっては、3,000円より少ないところもあります。少ない理由としては、子どもたちの被服費や習い事などに予算を充てていることが挙げられます。
児童養護施設の職員さんに「いくらあれば子どもたちが望むプレゼントを購入できるか」を伺ったところ、「子どもたちが望むプレゼントを購入できるのは、約5,000円あれば助かります。」という声がありました。アンケートの調査結果、平均約3,000円であることを踏まえると、この額では十分ではありません。
私たちあしながサンタでは、皆様からのご寄付で差額分をまかなうことにより、子どもたちが望むプレゼントを届けることが出来ます。あしながサンタでは、子ども一人あたり2,000円を届けています。
あしながサンタの皆様の一人ひとりのご寄付が集まることで、一人でも多くの子どもたちが望むプレゼントを届けることができます。
2024年度あしながサンタになっていただける方々を募集しております。
あしながサンタは今年のクリスマスが子どもたちにとって思い出に残る特別な1日にするために、子どもたちのあしながサンタになってくださる方を大募集しております。子どもたちが、笑顔いっぱいのクリスマスになるように、多くの方のご理解とご支援をお願いします。
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オレンジの羽根募金
児童養護施設の子どもが安心できる社会づくりへ
「オレンジの羽根運動」は、児童養護施設の現場職員が発足した社会活動です。
入所中の子どもたち、卒園する子どもたちにとってより良い社会で生活するために児童養護施設を正しく知っていただき、
共に支える大人の輪をつくることが目的です。
そんな想いで、私たちはこの活動を行なっています。
多くのみなさまへ活動を周知されるご協力をよろしくおねがいします。
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【FM世田谷/放送中】はなわと岩崎ひろみの ON AIR もっち〜ラジオ
お笑いタレント“はなわ”と女優の“岩崎ひろみ” がお届けする『ON AIR もっち~ラジオ』♪” 子どもたちの“ワクワク♪”を、もっと大きく膨らまそう ”をテーマに、“はなわ”と“岩崎ひろみ”が、子育て経験も交えて面白おかしく元気にお届けします!
〈放送日時)毎週日曜日/11:00~11:15
〈パーソナリティ〉はなわ 岩崎ひろみ
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【公開中】Youtubeチャンネル
日本児童養護施設財団のYoutubeチャンネルにて、『もっち〜とあっき〜が行く施設長インタビュー』『応援メッセージ』『ON AIR もっち〜ラジオのアーカイブ』『寄付サイト』のPVが公開中です。チャンネル登録して頂けますと幸いです。
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【無料掲載】卒園生対象 企業求人サイト
もっち〜ナビは就職を希望する子どもたちの選択肢が広がるように願いを込めて運営している児童養護施設専門の求人サイトです。施設で暮らす若さ溢れる子どもたちを積極的に採用したい企業のみが求人掲載をしているので、これから施設を退所する高校生や一度施設を退所した卒園児が再就職を目指す場合に活用してください。求人情報にある企業の窓口にご連絡をしていただけますと、求人担当から案内を受けることができます。この事業は営利活動ではないため、掲載課金、採用課金、応募課金、オプション課金は一切しておりません。掲載したい企業も随時募集しております。
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【開館中】日本子ども未来展 オンライン美術館
日本子ども未来展は、児童養護施設の子どもたちの豊かな成長を願うと共に、子どもたちが描く絵画を通して日々の生活だけでなく、子どもたちがそれぞれ持つ「夢」や「希望」を自由に表現する事で自分たちの将来について考える「きっかけ」を持ってもらうことを目的に実施しております。是非ご入館してみてください。子どもたちの素敵な感性や表現力の高さを垣間見れるので手を差し伸べたくなると思います。
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【寄付】あしながサンタ
2019年8月に全国の児童養護施設(607施設)へ、クリスマスに関してのアンケート調査を実施しました。アンケート調査により、1施設あたりの子ども1人に対してのクリスマスプレゼント代の平均予算(約3000円)がわかりました。そこで分かったのが、どの施設も子どもたちが施設生活を送る上で、不自由がない生活を送らせるために、クリスマスの予算を、習い事、衣服費、小遣い、ユニット旅費などに、適切に振り分けられていることがわかりました。ここに私たちがサポートできることがあると考えました。
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